割安株の探し方|スクリーニング条件の目安
スクリーニングとは、多数の上場企業から、指定した条件に合う企業を機械的に絞り込む方法です。楽天証券やSBI証券などの証券会社が提供するツールでは、PER、PBR、配当利回り、ROE、売上高成長率などを組み合わせられます。
以下は、候補を探すための初期条件例です。すべてを満たす企業が優良企業であることを保証する条件ではなく、業種に応じた調整が必要です。
割安株スクリーニングの基本条件例
- 予想PERが5倍以上15倍以下
- PBRが0.5倍以上1.2倍以下
- 予想配当利回りが2.5%以上
- ROEが8%以上
- 自己資本比率が40%以上
- 営業利益が2期連続で減少していない
- 営業キャッシュフローが継続的にプラス
PERが極端に低い企業を除外するため、下限を設定する方法があります。PERが2倍や3倍など極端に低い場合、特別利益によって一時的に利益が増えている、または翌期の大幅減益が予想されている可能性があります。
金融業や不動産業などは財務構造が一般企業と異なるため、自己資本比率を一律に比較できません。スクリーニングは同じ業種の企業同士で行うことが基本です。
楽天証券のスーパースクリーナーで確認できる項目
楽天証券のスーパースクリーナーでは、PER、PBR、ROE、配当利回り、経常利益、売上高変化率、海外売上高比率など、複数の条件を指定できます。条件に該当した企業を一覧表示し、数値順に並べ替えることも可能です。
条件を一度に厳しくしすぎると候補がなくなるため、最初はPER、PBR、時価総額の3項目程度から始め、業績や財務の条件を追加する方法が現実的です。
SBI証券のスクリーニングで確認したい点
SBI証券のスクリーニング機能でも、財務情報、業績予想、コンセンサス情報、テクニカル指標などを利用して銘柄を絞り込めます。米国株向けスクリーナーでは、財務、予想、株価指標などを組み合わせた検索にも対応しています。
証券会社によって、指標の更新時刻、予想利益の情報提供元、配当利回りの計算方法が異なる場合があります。同じ条件でも結果が完全に一致しないことがあるため、最終的には企業の決算資料で確認しましょう。
割安株と高配当株は同じではない
高配当株とは、株価に対する予想配当金の割合が高い株式です。割安株と重なることはありますが、意味は異なります。
株価の下落によって配当利回りが高く見えている企業では、業績悪化による減配が予想されている可能性があります。高配当株を選ぶ際は、現在の利回りだけでなく、配当を継続できる利益と現金があるかを確認します。
高配当の割安株で確認する項目
- 配当性向が利益に対して高すぎないか
- 営業キャッシュフローで配当金を支払えているか
- 有利子負債が急増していないか
- 過去に大幅な減配を繰り返していないか
- 記念配当や特別配当を通常配当と誤認していないか
配当性向は、企業が稼いだ利益のうち、どれだけを配当に回したかを示します。配当性向が100%を超えている状態が続く場合、利益以上の配当を支払っている可能性があり、継続性の確認が必要です。
割安株と成長株・グロース株の違い
| 比較項目 | 割安株 | 成長株・グロース株 |
|---|---|---|
| 主な注目点 | 現在の株価と企業価値の差 | 将来の売上高や利益の成長 |
| 株価指標 | PER・PBRが比較的低い傾向 | PER・PBRが高い場合がある |
| 配当 | 配当を行う成熟企業が比較的多い | 利益を成長投資へ回す企業が多い |
| 主なリスク | 低評価が長期間続く可能性 | 成長期待を下回った際の下落 |
割安株と成長株は完全に分かれるものではありません。利益が伸びているにもかかわらず、株価指標が同業他社より低い「割安成長株」もあります。
割安性と成長性を組み合わせる場合は、PERだけでなく、売上高成長率、営業利益率、ROE、フリーキャッシュフローなどを確認します。
半導体の割安株はPERだけで判断しにくい
半導体産業は、需要の拡大と減速が繰り返されやすい業種です。需要が好調な時期には利益が大きく増えるため、株価が上昇していてもPERが低く表示されることがあります。
その後、在庫調整や設備投資の減速によって利益が落ちると、過去の利益を基にしたPERは役に立たなくなる場合があります。半導体株では、現在のPERに加えて次の項目を確認します。
- 顧客企業の在庫水準
- 半導体製造装置の受注動向
- 設備投資計画
- 製品別の需要と供給能力
- 特定顧客への売上依存度
- 輸出規制や地政学的リスク
AI半導体、車載半導体、メモリー、製造装置では景気の動きが異なります。「半導体関連」という分類だけで一括して割安かどうかを判断しないことが重要です。
バリュートラップとは?安いままになる理由
バリュートラップとは、株価指標が割安に見えるため購入したものの、企業価値が改善せず、株価が低いまま推移したり、さらに下落したりする状態です。
バリュートラップになりやすい例
- 主力商品の需要が構造的に減少している
- 売上高と利益が長期間減り続けている
- 大口顧客を失い、代わりの顧客が見つからない
- 多額の負債によって利払い負担が増えている
- 保有資産が帳簿上の金額で売却できない
- 経営改善策が公表されても実行が進んでいない
- 一時的な利益によってPERだけが低くなっている
バリュートラップを回避する5つの確認方法
- 3年から5年の業績を見る:1年だけの利益では判断しない
- 現金の流れを見る:営業キャッシュフローが利益と一致しているか確認する
- 負債を確認する:金利上昇時にも返済できるかを考える
- 改善策の進捗を見る:目標だけでなく実績を確認する
- 同業他社と比べる:業界全体が低評価なのか、その企業だけの問題なのかを分ける
割安株の買い時は?景気サイクルとの関係
割安株に、誰にでも当てはまる完璧な買い時はありません。ただし、企業の業績と株価がどの段階にあるかを分けて考えることはできます。
| 景気の局面 | 起こりやすい変化 | 確認したい業種・指標 |
|---|---|---|
| 景気回復の初期 | 受注や生産が底打ちする | 機械、素材、輸送、在庫循環 |
| 景気拡大期 | 売上高と利益が増加する | 利益率、設備投資、賃金 |
| 景気減速期 | 受注や利益予想が下がる | 負債、固定費、在庫 |
| 景気後退期 | 業績悪化が株価へ反映される | 財務の健全性、配当維持力 |
株価は実際の景気より先に動くことがあります。経済指標が改善してから購入すると、株価がすでに上昇している場合もあります。一方、底値を正確に当てようとすると、悪材料が残る段階で大きなリスクを取ることになります。
購入時期を分ける方法は、1回の判断で資金を集中するリスクを抑える選択肢になります。ただし、分割購入によって損失がなくなるわけではありません。
2026年の割安株を考えるうえでは、東証の資本効率改善要請と金利環境を無視できません。最終ページでは、投資信託や米国株も含めて今後の注目点を整理します。


