MSCI ACWIとオールカントリーの関係
「オールカントリー」は、全世界株式を対象とする投資信託や指数の説明で使われる言葉です。
日本では、MSCI ACWIへの連動を目指す特定の全世界株式型投資信託の愛称として「オルカン」という呼び方が使われることもあります。
ただし、次の2つは同じものではありません。
- MSCI ACWI:MSCIが算出する株価指数
- 全世界株式型投資信託:指数への連動を目指して実際に運用される金融商品
投資信託の運用結果は、次の理由により指数と完全には一致しません。
- 信託報酬などの費用が差し引かれる
- ファンド内に現金が残る場合がある
- 配当にかかる税金がある
- 構成銘柄のすべてを保有しない場合がある
- 銘柄入替えの売買時期が異なる
- 為替の評価時刻が異なる
すべての全世界株式型商品がMSCI ACWI連動ではない
全世界株式型の投資信託やETFには、MSCI ACWI以外の指数への連動を目指す商品もあります。
商品名に「全世界」「オール・カントリー」と書かれていても、次の項目を確認してください。
- 連動対象となる指数
- 日本を含むか
- 新興国を含むか
- 小型株を含むか
- 配当込み指数か
- 為替ヘッジの有無
iShares MSCI ACWI ETFとは?
iShares MSCI ACWI ETFは、BlackRockが運用する米国上場ETFです。NASDAQ市場に上場し、ティッカーはACWIです。
MSCI All Country World Indexのネットリターンへの連動を目指します。
| 項目 | 2026年7月時点の概要 |
|---|---|
| ティッカー | ACWI |
| 上場市場 | NASDAQ |
| 設定日 | 2008年3月26日 |
| 経費率 | 年0.32% |
| 保有銘柄数 | 2237銘柄 |
| 純資産総額 | 約326.82億ドル |
| 分配頻度 | 年2回 |
保有銘柄数が指数の2461銘柄より少ないのは、ETFが指数の構成銘柄をすべて同じ割合で直接保有するとは限らないためです。
代表的な銘柄を組み合わせて指数への連動を目指すサンプリング手法などが使われる場合があります。
ETF価格と指数値は同じではない
MSCI ACWIの指数値と、ETFの1口当たり価格は別の数値です。
ETFは市場で売買されるため、取引時間中は需要と供給によって価格が変動します。ETFの市場価格が、保有資産の価値である基準価額を一時的に上回ったり下回ったりする場合もあります。
iShares MSCI ACWI ETFをSBI証券で取引できる?
2026年7月時点で、SBI証券の米国ETF取扱銘柄にはiShares MSCI ACWI ETFが掲載されています。取扱市場はNASDAQです。
SBI証券の海外ETF一覧では、NISAの成長投資枠対象としても案内されています。
購入前に確認する費用
- 米国株式・ETFの売買手数料
- 円を米ドルへ交換する際の為替コスト
- ETF内部で差し引かれる経費率
- 売値と買値の差であるスプレッド
- 分配金に関する税金
NISAの対象であっても、投資元本や利益が保証されるわけではありません。米国市場の取引時間中に価格が変動し、円換算額は為替の影響も受けます。
米国ETFと国内投資信託の主な違い
| 比較項目 | 米国ETF | 国内投資信託 |
|---|---|---|
| 売買通貨 | 主に米ドル | 円 |
| 価格 | 取引時間中に変動 | 1日1回算出される基準価額 |
| 注文方法 | 指値・成行など | 金額指定による購入が中心 |
| 分配 | 現金分配が行われる | 再投資型の商品も多い |
| 積立 | 証券会社の対応による | 少額の自動積立に対応する商品が多い |
どちらが適しているかは、費用だけでなく、積立方法、分配金、取引通貨、管理のしやすさによって変わります。
BloombergでMSCI ACWIを見る際の注意点
Bloombergなどの金融情報端末や情報サービスでは、MSCI ACWIの指数データや関連ETFを確認できます。
BlackRockは、iShares MSCI ACWI ETFが連動を目指すベンチマークのBloomberg Index TickerをNDUEACWFと案内しています。
ただし、入力するコードによって次の内容が異なる場合があります。
- 価格指数
- グロスリターン指数
- ネットリターン指数
- 米ドル建て指数
- 円換算指数
- 為替ヘッジ指数
- iShares MSCI ACWI ETFの市場価格
チャートの数値が別サイトと一致しない場合は、指数名だけでなく、配当の扱いと表示通貨を確認してください。
MSCI ACWIの利回りとは?
「MSCI ACWIの利回り」という言葉には、複数の意味があります。
1.指数の配当利回り
2026年6月30日時点で、MSCI ACWIの指数配当利回りは1.57%です。
これは構成企業の株価に対する配当水準を表す指標であり、投資家が実際に受け取る分配金利回りと同じとは限りません。
2.ETFの分配金利回り
iShares MSCI ACWI ETFの2026年6月末時点の公表値は次のとおりです。
- 過去12カ月分配金利回り:1.43%
- 30日SEC利回り:1.13%
過去12カ月分配金利回りは過去の分配実績、30日SEC利回りは直近の収益を一定の方法で年率換算した数値です。計算方法が異なるため、同じ数字にはなりません。
3.値上がりを含むトータルリターン
株価の値上がり・値下がりと配当再投資を合計した運用成績です。一般に長期投資の成果を比較する場合は、分配金利回りだけでなくトータルリターンも確認します。
配当利回りが1.57%だから、毎年1.57%の利益が確定するという意味ではありません。株価が下落すれば、配当を受け取っても投資全体では損失となる場合があります。
MSCI ACWIへ投資するメリット
- 先進国と新興国へまとめて投資できる
複数の国・地域を個別に選ぶ手間を抑えられます。 - 約2500銘柄へ分散できる
1社だけを保有する場合より、個別企業の影響を抑えやすくなります。 - 市場規模の変化を反映する
企業や国の時価総額が変わると、指数内の割合も変化します。 - 連動商品を比較しやすい
国内投資信託や海外ETFなど、複数の選択肢があります。 - 長期的な世界経済の成長へ投資できる
世界の上場企業が生み出す利益の成長を運用成果へ反映できる可能性があります。
MSCI ACWIへ投資するデメリットと注意点
- 元本保証ではない
世界的な株価下落では大きな損失が生じます。 - 米国への集中度が高い
2026年6月末時点で米国が63.63%を占めます。 - 大型テクノロジー企業の影響が大きい
上位銘柄や情報技術業種の値動きが指数へ強く反映されます。 - 小型株を含まない
世界株式市場のすべてを網羅する指数ではありません。 - フロンティア市場を含まない
MSCIが新興国より市場発展段階が早期と分類する市場は対象外です。 - 為替変動の影響を受ける
円換算の資産価値は円高・円安によって変動します。 - 指数の分散と家計全体の分散は別
勤務先、収入、不動産なども含めて資産全体を考える必要があります。
MSCI ACWIが合うか確認するポイント
- 数年以内に使う予定のない資金か
- 株価が大幅に下落しても保有を続けられるか
- 米国株が6割以上を占める構成を理解しているか
- 別に保有する日本株や米国株との重複を確認したか
- 投資信託とETFの費用・税金・分配方法を比較したか
- 小型株や債券を別に保有する必要があるか
- 円高による評価額下落を受け入れられるか
MSCI ACWIでよくある誤解
世界のすべての株式を保有できる
対象は47市場の大型株と中型株です。小型株、フロンティア市場、未上場企業などは含まれません。
各国へ均等に投資できる
時価総額加重のため、米国など市場規模の大きい国の割合が高くなります。
2500銘柄あるから大きく下落しない
世界的な金融危機では、多くの国や企業が同時に下落します。銘柄数が多くても、市場全体の下落は避けられません。
過去10年の年率リターンが今後も続く
過去10年の結果には、当時の株価、金利、為替、企業業績が反映されています。同じ収益率が将来も続く保証はありません。
MSCI ACWIと連動投資信託は同じ値動きになる
費用、税金、売買時期、現金保有などにより、実際の運用商品には指数との差が生じます。
まとめ:MSCI ACWIは全世界株式の代表指数だが米国比率も確認する
MSCI ACWIは、先進国23市場と新興国24市場の大型株・中型株で構成される全世界株式指数です。2026年6月末時点では2461銘柄を組み入れ、世界の投資可能株式市場の約85%をカバーしています。
国別では米国が63.63%、日本が5.00%を占めています。約2500銘柄へ分散されている一方、情報技術業種が32.09%を占め、上位の米国大型企業の影響も大きい構成です。
MSCI Worldは先進国のみ、MSCI Kokusaiは日本を除く先進国、MSCI ACWI ex Japanは日本を除く先進国と新興国で構成されます。指数名が似ていても、対象市場は異なります。
チャートを比較する際は、米ドルか円か、価格指数か配当込みか、ネットリターンか、実際のETF・投資信託かを確認する必要があります。30年チャートには、指数の正式な算出開始前のバックテスト値が含まれる場合があります。
iShares MSCI ACWI ETFはNASDAQへ上場する米国ETFで、SBI証券でも取り扱われています。一方、国内の全世界株式型投資信託は円で少額積立を行いやすいなど、取引方法が異なります。
MSCI ACWIは、世界株式へ広く投資する手段の1つですが、損失を防ぐ指数ではありません。構成割合、為替、費用、資金を使う時期を確認し、生活費と分けた余裕資金で検討することが重要です。
本記事は一般的な金融・投資教育を目的としたものであり、特定の指数連動商品、投資信託、ETFその他の金融商品の取得、売却、保有を推奨するものではありません。株式、投資信託、ETFは価格が変動し、投資元本を下回る可能性があります。指数の構成国、銘柄、割合、利回り、商品費用、NISA対象状況は変更される場合があるため、実際の取引前に指数会社、運用会社、証券会社、目論見書などの最新情報をご確認ください。
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