Traditional IRAとRoth IRAはどっち?
Traditional IRAとRoth IRAの主な違いは、税金が軽減される時期です。
| 比較項目 | Traditional IRA | Roth IRA |
|---|---|---|
| 拠出する資金 | 一定条件で税控除の対象 | 税引き後の資金 |
| 拠出時の所得制限 | 拠出は可能でも控除に所得制限がある場合 | 直接拠出に所得制限あり |
| 運用中 | 課税を繰り延べ | 口座内で課税を繰り延べ |
| 引き出し時 | 課税対象になる部分がある | 適格な引き出しは連邦所得税が非課税 |
| 生前の最低引出額 | 一定年齢からRMDあり | 口座所有者の生前は原則RMDなし |
Traditional IRAが合いやすい場合
- 現在の所得税率が退職後より高いと想定している
- 拠出時の所得控除を利用できる
- 現在の税負担を抑えながら老後資金を積み立てたい
Roth IRAが合いやすい場合
- 現在より将来の税率が高くなる可能性を考えている
- 適格な引き出しを非課税にしたい
- 生前の最低引出義務がない口座を持ちたい
将来の所得、税率、居住国、退職年齢を正確に予測することはできません。TraditionalとRothへ分けて税制上の時期を分散する考え方もあります。
投資型退職口座の早期引き出しと10%追加税
米国の退職口座から59歳6カ月より前に課税対象資金を引き出すと、通常の所得税に加えて、原則として10%の追加税がかかります。
10%だけを支払えばよいわけではありません。例えば、課税対象となる10000ドルを早期に引き出した場合、1000ドルの追加税に加え、その年の所得として連邦所得税や州税が発生する可能性があります。
追加税の例外となる場合
死亡、一定の障害、一定額を超える医療費、適格な高等教育費、初めての住宅購入に関するIRAの一定額など、法律上の例外があります。
ただし、401(k)とIRAでは利用できる例外が異なります。税法上の例外に該当しても、勤務先の401(k)規約が在職中の引き出しを認めていなければ、実際には払い出せない場合があります。
Roth IRAならいつでも無税とは限らない
Roth IRAでは、税引き後に拠出した元本部分と運用益部分で扱いが異なります。拠出元本は一定の順序規則に従って先に引き出されますが、運用益を非課税で受け取るには、原則として5年間の保有要件と年齢などの条件を満たす必要があります。
Roth IRAという名称だけで、すべての引き出しが自動的に非課税になるわけではありません。
投資型退職口座のロールオーバーとは?
ロールオーバーとは、401(k)やIRAなどの退職資産を、税制上の条件を保ちながら別の退職制度へ移す手続きです。
転職や退職時には、一般に次の選択肢があります。
- 旧勤務先の401(k)に残す
- 新勤務先の401(k)へ移す
- Traditional IRAへ移す
- 条件を確認してRoth IRAへ変換する
- 現金で受け取る
旧勤務先に残せるか、新勤務先が移換を受け入れるかは、各制度の規約によって異なります。
直接ロールオーバーが基本
金融機関から新しい金融機関へ直接送金する「direct rollover」では、本人が資金を受け取らないため、一般に手続き上の税負担を避けやすくなります。
勤務先制度から本人へ直接支払われた場合は、適格なロールオーバー対象額の20%が連邦税として源泉徴収されることがあります。全額を移したい場合は、差し引かれた20%を自己資金で補い、原則60日以内に移換しなければなりません。
TraditionalからRothへの移換は課税される場合
税引前の401(k)やTraditional IRAからRoth IRAへ移す手続きは、Roth conversionと呼ばれます。移換した税引前部分は、その年の課税所得になるのが原則です。
ロールオーバーという名称でも、すべてが非課税になるわけではありません。税引前資金を税引前口座へ移す場合と、Rothへ変換する場合を区別する必要があります。
手続き前の確認項目
- 旧制度と新制度の口座種類
- 税引前資金と税引き後資金の内訳
- 直接移換が利用できるか
- 新制度が資産を受け入れるか
- 口座管理料と商品の信託報酬
- 勤務先株式や融資残高の扱い
- 居住国変更後も金融機関を利用できるか
日本の投資型退職口座に当たる制度
日本では、iDeCoと企業型確定拠出年金が、米国の投資型退職口座に近い制度です。どちらも拠出された掛金を加入者が運用し、運用結果に応じて将来の受取額が変わります。
iDeCoと企業型DCの違い
| 比較項目 | iDeCo | 企業型DC |
|---|---|---|
| 制度を用意する人 | 個人が任意で加入 | 勤務先が制度を導入 |
| 主な掛金負担 | 加入者本人 | 主に勤務先 |
| 追加拠出 | 加入区分ごとの上限内 | 規約によりマッチング拠出が可能な場合 |
| 商品 | 選んだ運営管理機関の商品 | 勤務先制度が用意した商品 |
| 途中引き出し | 原則60歳まで不可 | 原則60歳まで不可 |
| 転職時 | 口座を継続しやすい | 新制度やiDeCoなどへ移換が必要な場合 |
2026年7月時点のiDeCo掛金上限
| 加入区分 | 月額上限の目安 |
|---|---|
| 自営業者・フリーランスなど | 68000円 |
| 企業年金のない会社員 | 23000円 |
| 企業年金等に加入する会社員・公務員 | 20000円 |
| 国民年金第3号被保険者 | 23000円 |
| 国民年金任意加入被保険者 | 68000円 |
iDeCoの最低掛金は月額5000円で、1000円単位で設定します。
企業年金等に加入する人は、企業型DCの事業主掛金や確定給付企業年金の掛金相当額などとの合計で限度額を計算します。そのため、すべての人が月額20000円まで拠出できるとは限りません。
iDeCoの税制上の特徴
- 掛金が全額所得控除の対象となる
- 口座内の運用益に通常の投資口座と同じ課税が行われない
- 一時金で受け取る場合は退職所得控除の対象となる場合がある
- 年金で受け取る場合は公的年金等控除の対象となる場合がある
所得控除による効果は、掛金、課税所得、所得税率、住民税の状況によって異なります。所得税や住民税を負担していない場合、掛金控除による直接的な軽減効果は生じません。
iDeCoは中途解約できる?
iDeCoの資産は原則として60歳まで引き出せません。掛金の拠出停止や減額はできますが、自由に口座を解約して現金化できる制度ではありません。
障害給付金、死亡一時金、厳しい要件を満たす脱退一時金などの例外はありますが、住宅購入、教育費、失業などを理由に自由に引き出すことはできません。
企業型DCを退職後に放置しない
企業型DCの加入資格を失った後、一定期間内にiDeCoや転職先の企業型DCなどへ資産を移さないと、国民年金基金連合会へ自動移換される場合があります。
自動移換中は新たな運用が行われず、管理手数料が差し引かれ、受給開始に必要な通算加入期間へ算入されない期間が生じることがあります。退職時には勤務先から受け取る資格喪失通知などを確認しましょう。
退職口座と特定口座を混同すると、非課税枠や確定申告で思わぬ違いが生じます。口座の使い分けと帰国後の注意点は次のページへ。




