NASDAQ100採用・ロックアップ・時価総額を整理
スペースXはNASDAQ100に採用
NASDAQは、スペースXを2026年7月7日の取引開始前からNASDAQ100指数へ組み入れると発表しました。
NASDAQ100は、NASDAQ市場に上場する企業のうち、金融企業を除く代表的な大型企業で構成される指数です。指数への採用により、NASDAQ100に連動するETFや投資信託から機械的な買い需要が生じる場合があります。
ただし、指数採用は株価の上昇を保証するものではありません。指数連動資金の買いが一巡した後は、業績、企業価値、株式需給などが改めて評価されます。
スペースXのロックアップはいつ解除される?
ロックアップとは、創業者、役員、従業員、既存株主などが、上場直後に保有株を大量売却することを制限する契約です。IPO直後の急激な供給増加を抑える目的があります。
スペースXのSEC提出書類では、一般的なロックアップ期間として公開日から180日、一部については最長366日となる条件が確認できます。
ただし、すべての株式が同じ日に一斉解禁される単純な仕組みではありません。上場後の日数、四半期決算の公表、株価条件などに応じて、一部の株式を段階的に売却できる規定が含まれています。
- 一部株式は四半期決算公表後に段階的な解除対象となる
- 上場から70日、90日、105日など複数の基準が設定されている
- 通常の対象株式は180日までに解除される仕組みが中心
- 一部の延長対象は最大366日に及ぶ
ロックアップ解除によって売却可能な株式が増えると、需給面で株価の重荷になる場合があります。一方、解除対象者が実際に売却するとは限らず、解除だけを理由に株価下落が確定するわけではありません。
スペースXの時価総額は2026年にいくら?
2026年7月16日の終値131.11ドル時点で、報道各社が示すスペースXの時価総額は約1.72兆ドルです。
時価総額は、基本的に株価へ発行済み株式数を掛けて算出されます。株価が動けば時価総額も変化するため、1.72兆ドルは固定された企業価値ではありません。
上場時の公開価格135ドルを基準とした企業評価額は約1.77兆ドルとされました。これは世界の上場企業の中でも極めて大きな水準であり、スターリンクの通信事業、打ち上げ事業、国防・政府契約、スターシップの将来性が高く評価された結果と考えられます。
スターシップ打ち上げの最新状況【2026年7月】
Flight 13は点火直前に自動停止
2026年7月16日に予定されていたスターシップの第13回飛行試験「Flight 13」は、打ち上げ直前に自動停止しました。ロイターの報道によると、カウントダウンは離昇まで1秒を切った段階で停止し、スーパーヘビーの一部ラプターエンジンが正常に始動しなかったことが理由とされています。
イーロン・マスク氏は、問題が確認された2基のラプターエンジンを取り外して交換する方針を示しました。次の打ち上げは翌週前半が見込まれると報じられましたが、正式日程は機体点検、規制当局の手続き、天候などで変更される可能性があります。
したがって、「Flight 13の打ち上げに成功した」という表現は正確ではありません。2026年7月16日の試みは離昇前に中止され、機体は発射台に残りました。
Flight 13で予定されている試験内容
Flight 13では、主に次の試験が計画されています。
- スターリンクV3試験衛星20基の放出
- 宇宙空間でのエンジン再点火
- 機体の耐熱性能と再突入制御の確認
- スーパーヘビーと宇宙船の制御された着水
Flight 13では、発射塔のアームによるブースター回収は予定されておらず、海上への着水試験が計画されています。スターシップの各飛行試験は目的が異なるため、毎回「チョップスティック回収」が行われるわけではありません。
「箸(チョップスティック)」による回収とは?
チョップスティックとは、発射塔「メカジラ」に設置された大型の可動アームです。箸のように左右から機体を支えることから、この名称で呼ばれています。
スペースXは2024年10月13日のFlight 5で、帰還したスーパーヘビーを発射塔のアームで初めて回収しました。2025年1月16日のFlight 7では2回目の回収に成功しています。
発射塔で直接回収できれば、ブースターに大型の着陸脚を搭載する必要がなくなり、将来的な整備時間の短縮や打ち上げ頻度の向上につながる可能性があります。ただし、実用的な短時間再飛行を実現するには、エンジン、耐熱材、推進剤補給、発射設備などを含めた継続的な検証が必要です。
スターリンクの料金と通信の仕組み
日本向けスターリンク料金の目安
スターリンク日本公式サイトの「ホーム」向けプランでは、2026年7月17日時点で月額4,900円の表示が確認できます。別の用途別ページでは月額6,920円からと表示される場合もあります。
これは、固定住所向け、移動利用向け、船舶向け、法人向けなどで料金体系が異なるためです。アンテナなどの機器代、配送費、キャンペーン、利用地域、優先データの有無によっても総額が変わります。
実際の契約額は、スターリンク公式サイトで利用住所を入力し、希望するプランと機器を選択した後に表示される見積額を確認してください。
スターリンクはどのようにつながる?
スターリンクは、地球低軌道を飛行する多数の通信衛星を利用したインターネットサービスです。利用者宅のアンテナから上空の衛星へ電波を送り、衛星間レーザー通信や地上局を経由してインターネットへ接続します。
従来の静止衛星より地表に近い軌道を利用するため、一般に通信の往復時間を短縮しやすい点が特徴です。一方、建物、樹木、山などが空を遮ると通信が途切れることがあります。利用者の集中、悪天候、衛星配置によって速度が変化する可能性もあります。
ファルコン9は何回再利用された?
スペースXのファルコン9は、第一段ブースターを地上または洋上ドローン船へ着陸させ、整備後に再使用するロケットです。
2026年7月時点では、同一ブースターによる最多飛行記録は36回です。B1067と呼ばれる第一段ブースターが、2026年7月までに36回の飛行を達成しました。
ただし、ファルコン9の全構成品が丸ごと再利用されるわけではありません。日常的に回収・再使用される中心部分は第一段ブースターで、ペイロードフェアリングも回収して再利用されることがあります。第二段は通常、使い切りです。
NASAとの契約とアルテミス計画
スペースXの月着陸船契約額
NASAは2021年、アルテミス計画の有人月着陸船としてスターシップを採用し、スペースXと28億9,000万ドルの契約を結びました。2022年には追加ミッションに向けて約11億5,000万ドルの契約変更が行われ、基礎となる契約額は合計約40億4,000万ドルとなります。
NASA監察総監室が2026年3月に公表した監査資料では、着陸船開発を含むHLSプログラム全体で約69億ドルがすでに契約上義務化され、2030会計年度までの費用が約183億ドルに達するとの見積もりが示されています。これはスペースX単独への支払額ではなく、複数事業者やプログラム全体を含む数字です。
アルテミスIIIとIVの最新計画
NASAは2026年にアルテミス計画の飛行構成を見直しました。最新計画では、アルテミスIIIは2027年に地球低軌道で有人ドッキングなどを検証する実証飛行となり、月面着陸ミッションではありません。
最初の有人月面着陸は、早ければ2028年初頭のアルテミスIVで実施する目標へ変更されています。古い記事には「アルテミスIIIで月面着陸」と書かれている場合がありますが、現在のNASA計画とは異なります。
ブルーオリジンとの比較
| 比較項目 | スペースX | ブルーオリジン |
|---|---|---|
| 主な大型ロケット | ファルコン9、ファルコンヘビー、スターシップ | ニューグレン |
| 再利用方式 | ファルコン9第一段の着陸・再飛行を日常運用 | ニューグレン第一段の再利用を計画・実施 |
| 低軌道輸送能力 | スターシップは完全再利用時に100トン超を目標 | ニューグレンは最大45トン |
| 月着陸船 | スターシップHLS | ブルームーンMK1・MK2 |
| 衛星通信 | スターリンクを大規模運用 | Project Kuiper関連の打ち上げなどに参加 |
スペースXは、ファルコン9による高頻度の商業打ち上げとスターリンクの大規模運用で先行しています。ブルーオリジンはニューグレンやブルームーンを中心に開発を進め、NASAから有人月着陸システムについて34億ドルの契約を受注しています。
両社はロケットの開発段階、ミッション、収益構造が異なるため、単純に優劣だけで比較することは適切ではありません。スペースXには運用実績の強みがあり、ブルーオリジンには月面輸送を含む複数システムを開発する役割があります。
技術が魅力的でも、株価が上がるとは限りません。最終ページでは、企業価値を左右する要因とイーロン・マスク氏の支配力、採用条件、火星移住ロードマップを事実に基づいて整理します。


