年代別ポートフォリオの考え方
年代別のポートフォリオは、運用期間を考える目安にはなります。ただし、年齢だけで適切な割合は決まりません。
同じ30歳でも、独身で老後資金を積み立てる場合と、3年後の住宅購入資金を準備する場合では、取れるリスクが異なります。
20代のポートフォリオ例
| 資産 | 説明用の配分例 |
|---|---|
| 株式 | 70% |
| 債券 | 20% |
| 現金 | 10% |
老後まで長い期間がある場合は、株式の値下がりから回復を待てる可能性があります。一方、奨学金返済、転職、結婚、住宅購入など、近い時期の支出が多い場合は現金を厚くする必要があります。
30代のポートフォリオ例
| 資産 | 説明用の配分例 |
|---|---|
| 株式 | 65% |
| 債券 | 20% |
| 金など | 5% |
| 現金 | 10% |
住宅や教育に使う予定の資金と、老後まで使わない資金を分けることが重要です。住宅の頭金を株式で運用する場合は、購入直前の値下がりに注意が必要です。
40代のポートフォリオ例
| 資産 | 説明用の配分例 |
|---|---|
| 株式 | 55% |
| 債券 | 30% |
| 金など | 5% |
| 現金 | 10% |
老後までの運用期間は残っていますが、教育費や住宅ローンなどの支出が重なる場合があります。資産額だけでなく、今後の収入と支出も含めて判断します。
50代のポートフォリオ例
| 資産 | 説明用の配分例 |
|---|---|
| 株式 | 40% |
| 債券 | 40% |
| 金など | 5% |
| 現金 | 15% |
退職時期が近づくほど、株価下落から回復を待てる期間が短くなる可能性があります。退職後すぐに使う資金と、70代以降まで運用する資金を分けて考えます。
上記の割合は制度上の基準ではありません。資産額、年金、退職金、住宅ローン、家族構成、リスク許容度によって適切な比率は変わります。
NISAポートフォリオに黄金比はある?
NISAに公式な「黄金比」はありません。金融庁が株式と債券の割合や、つみたて投資枠と成長投資枠の利用割合を指定しているわけでもありません。
2026年7月時点の成人向けNISAの主な枠は次のとおりです。
| 区分 | 年間投資枠 | 主な対象 |
|---|---|---|
| つみたて投資枠 | 120万円 | 長期・積立・分散投資に適した一定の投資信託 |
| 成長投資枠 | 240万円 | 一定の上場株式・ETF・投資信託など |
| 非課税保有限度額 | 合計1800万円 | うち成長投資枠は1200万円まで |
年間枠が120万円と240万円であることから「つみたて1:成長2」が黄金比という意味にはなりません。
つみたて投資枠だけを使う方法
幅広く分散された投資信託をつみたて投資枠で購入し、管理を簡単にする方法があります。成長投資枠を必ず利用する必要はありません。
両方の枠で同じ資産へ投資する方法
成長投資枠の対象にもなっている投資信託であれば、両方の枠で同じ運用方針の商品を購入できる場合があります。
枠が2つあるからといって、つみたて投資枠で投資信託、成長投資枠で個別株を買う必要はありません。
成長投資枠をサテライトに使う方法
つみたて投資枠を分散型投資信託の中心部分に使い、成長投資枠の一部で個別株、ETF、REITなどを保有する方法です。
個別商品へ投資する割合を増やすほど、価格変動や銘柄固有のリスクも高まりやすくなります。
NISAでリバランスする際の注意点
NISAで商品を売却すると、その商品の取得金額に相当する非課税保有限度額を翌年以降に再利用できます。
ただし、売却した年の年間投資枠が同じ年に復活するわけではありません。頻繁な売買によるリバランスより、新しい積立資金で不足資産を購入する方法が適する場合があります。
債券はポートフォリオに必要?
債券を必ず保有しなければならないという決まりはありません。主な役割は、株式とは異なる値動きを組み合わせ、ポートフォリオ全体の変動を抑えることです。
債券を保有する主な理由
- 定期的な利子収入を期待できる
- 満期まで保有すると額面で償還される商品がある
- 株式より値動きが小さい傾向がある
- 株価下落時のリバランス資金として使える
債券にも損失リスクがある
- 市場金利が上昇すると債券価格が下がる場合がある
- 発行体が利払いや償還を行えない場合がある
- 外国債券には為替変動リスクがある
- 途中売却では購入価格を下回る場合がある
- 物価上昇により実質的な価値が低下する場合がある
債券比率は年齢だけでなく、使用時期、収入の安定性、株価下落への耐性を基に決めます。
金をポートフォリオへ入れる必要性
金も必須の資産ではありません。株式や債券とは異なる要因で値動きする場合があり、分散先の1つとして利用されます。
金の特徴
- 企業の経営破綻リスクとは異なる値動きをする
- 通貨不安や地政学的緊張時に買われる場合がある
- 現物・ETF・投資信託・積立など購入方法が複数ある
- 円建て価格は金の国際価格と為替の影響を受ける
金は株式の配当や債券の利子のような収益を生みません。価格が下がる場合もあり、保管費用や信託報酬が発生する商品もあります。
金を組み入れる場合、全体の5%や10%などを例とする考え方がありますが、公式な適正割合ではありません。
現金比率の目安と暴落対策
現金比率にも、すべての家庭に共通する目安はありません。
投資用ポートフォリオの現金比率を決める前に、日常生活費、近い将来の支出、病気や失業に備える資金を投資資産とは別に確保します。
現金を保有するメリット
- 相場下落時に金融商品を売らず生活費を支払える
- 暴落時に追加購入する選択肢を持てる
- 資産全体の値動きを抑えられる
- 予定外の支出へ対応しやすい
現金を多く持つデメリット
- 株式市場が上昇した場合に機会損失が生じる
- 預金金利を上回る物価上昇で購買力が低下する場合がある
- 暴落を待ち続けて投資を始められない場合がある
「暴落したら買うための現金」と「生活を守るための現金」は分けて考えることが大切です。
コア・サテライト戦略とは?
コア・サテライト戦略は、資産の中心となるコア部分と、追加的な収益を狙うサテライト部分を分ける方法です。
| 区分 | 役割 | 商品の例 |
|---|---|---|
| コア | 長期運用の中心 | 全世界株式型・幅広い債券型・バランス型など |
| サテライト | 特定分野への追加投資 | 個別株・特定業種ETF・REIT・金など |
説明用には、コアを70~90%、サテライトを10~30%とする例があります。ただし、これも制度上の黄金比ではありません。
サテライトの値上がりによって割合が増えすぎると、当初より高いリスクを取る状態になります。定期的に全体の比率を確認する必要があります。
4資産を25%ずつ保有するGPIFの配分を、そのまま個人がまねすべきとは限りません。違いと計算方法は次のページへ。


