押し目買いのタイミングはどう判断する?
押し目買いには、「ここなら必ず反発する」という万能なタイミングはありません。
一般的なチャート分析では、まず上昇トレンドの有無を確認し、その後に一時的な調整と反発の兆候を確認します。
ステップ1:上昇トレンドを確認する
押し目買いの前提は、基本的にそれまで上昇傾向にあることです。
チャートを見る際には、たとえば高値と安値の推移を確認します。
- 以前の高値より次の高値が高い
- 以前の安値より次の安値が高い
このように高値・安値が切り上がっている状態は、上昇トレンドを判断する一つの方法です。
移動平均線の傾きを利用する場合もあります。日本取引所グループでは、移動平均線を一定期間の終値の平均値をグラフ化したものとして説明しており、株価の方向性を見る際に利用されています。
ステップ2:一時的な下落を待つ
上昇していた株価が利益確定売りや市場全体の下落などによって一時的に下がることがあります。
ただし、下がり始めた直後に「押し目だ」と決めつけることには注意が必要です。
一時的な調整ではなく、業績悪化や市場環境の変化などを背景として、本格的な下降トレンドへ転換している可能性もあるためです。
ステップ3:サポートライン付近の動きを確認する
サポートライン(下値支持線)とは、価格が下落した際に、過去に何度か下げ止まった価格帯などを示す考え方です。
過去の安値付近や上昇トレンドライン、移動平均線などがサポートとして意識される場合があります。
たとえば、過去に何度も2,000円付近で反発している株が再び2,000円付近まで下落した場合、その価格帯が下値支持として意識される可能性があります。
ただし、サポートラインは壁ではありません。価格がその水準を下回ることも当然あります。
ステップ4:反発を確認してから判断する方法もある
安値を正確に当てることは困難です。
そのため、サポート付近まで値下がりした瞬間に買うのではなく、一定の反発を確認してから判断する方法もあります。
ローソク足の動き、直近高値の更新、出来高、移動平均線との位置関係など、複数の要素を見る考え方があります。
ただし、確認材料を増やしても将来の値動きが確定するわけではありません。
押し目買いで使われる主なインジケーター
押し目買い専用の「必ず成功するインジケーター」は存在しません。
テクニカル指標は過去の価格や出来高などを加工して表示するもので、将来の価格を保証するものではないためです。
実際、金融・証券各社の解説でも、テクニカル分析には複数の見方があり、絶対的な売買サインではないことが注意されています。
1.移動平均線
押し目を見る際に代表的に利用される指標の一つが移動平均線です。
移動平均線は、一定期間の価格の平均値をつないだ線です。日足チャートでは5日、25日、75日、200日など、さまざまな期間が使用されます。
上向きの移動平均線付近まで株価が下落し、その周辺から再び上昇する形を押し目の参考にする考え方があります。
ただし「25日移動平均線に触れたら必ず買い」といったルールはありません。銘柄や相場環境によって値動きの特徴は異なります。
2.トレンドライン
上昇局面の安値と安値を結んで作る線が、上昇トレンドラインとして使われます。
大和証券の用語解説では、上昇相場ではローソク足の底を結んでトレンドラインを描き、ラインが破られない間はトレンドが継続していると見る方法が紹介されています。
価格が上昇トレンドライン付近まで調整した後に反発する場面を、押し目候補として見ることがあります。
3.RSIなどのオシレーター
RSIなどのオシレーター系指標は、一定期間の値動きをもとに、相場の過熱感を見るために利用されます。
ただし、「RSIが低い=必ず反発する」というものではありません。
強い下降局面では、売られすぎとされる状態が長期間続くこともあります。押し目買いではRSIだけを見るのではなく、トレンドやサポートなど他の情報と組み合わせて見る方法があります。
4.MACD
MACDは「Moving Average Convergence Divergence」の略で、指数平滑移動平均線を利用したテクニカル分析手法です。
MACDとシグナルの位置関係などから、トレンドの変化を見るために利用されています。
これも単独で将来の価格を予測できる指標ではありません。
5.出来高
株式では、価格だけでなく出来高を見ることもできます。
下落後の反発局面で取引量がどう変化しているのかを、価格の動きと合わせて分析する方法があります。
ただし、出来高増加そのものが上昇を意味するわけではありません。大きな売り注文によって出来高が増えることもあります。
押し目買いのチャートはどう見る?
初心者の場合は、インジケーターを大量に表示するより、まず価格そのものの動きを確認すると整理しやすくなります。
代表的には次の順番です。
- 大きな流れが上昇しているか確認する
- 高値と安値が切り上がっているかを見る
- 一時的な下落が発生する
- 過去の安値や移動平均線などの支持候補を確認する
- 反発するか、それとも支持水準を割るかを見る
ここで大切なのは、チャート上に線を引けば未来の価格が決まるわけではないということです。
テクニカル分析は判断材料の一つであり、企業の業績、金利、為替、経済指標、市場全体のニュースなどによって価格は変化します。
押し目買いに向く銘柄はどう考える?
「押し目買いできる銘柄」を考える際、単に大きく下落した株を選ぶのは押し目買いの考え方とは異なります。
押し目買いは上昇基調が続くことを前提とした方法だからです。
候補を確認する際には、次のような情報を見る方法があります。
- 一定期間で上昇基調が続いているか
- 高値・安値が切り上がっているか
- 移動平均線の向きはどうなっているか
- 直近の下落原因は何か
- 業績や財務状況に大きな変化が発生していないか
- 決算発表など重要イベントを控えていないか
- 売買が極端に少ない銘柄ではないか
特に注意したいのは、下落理由を確認せず「安くなったから押し目」と判断することです。
業績予想の大幅な下方修正など、企業価値の評価を変える材料によって株価が下落している場合、それまでの上昇トレンドが終了する可能性もあります。
そのため、本記事では特定の銘柄を「押し目買い銘柄」として推奨することはしていません。押し目かどうかは価格水準や市場環境によって変化するためです。
FXでも押し目買いの意味は同じ
押し目買いという言葉は株だけでなく、FX(外国為替証拠金取引)でも使われます。
たとえば米ドル/円が上昇トレンドにあると判断している状況で、一時的にドル安・円高方向へ動いた後、再びドル高・円安方向へ戻ることを想定して買う方法が押し目買いです。
基本的なチャートの考え方は株式と共通しており、移動平均線、トレンドライン、サポートライン、MACD、RSIなどが分析に利用される場合があります。
ただしFXでは証拠金を利用したレバレッジ取引が可能なため、予想と反対方向へ相場が動いた場合には損失が大きくなる可能性があります。
押し目買いで特に危険なのは、反発を期待しているのに重要な支持水準を下回ってしまうケースです。「押し目が割れる」の意味と、初心者が陥りやすい失敗を次のページで確認します。


