「押し目が割れる」とはどういう意味?
相場解説では「押し目の水準を割った」「サポートを割れた」といった表現が使われることがあります。
一般的には、押し目として意識していた過去の安値、サポートライン、トレンドライン、移動平均線などを価格が下回ることを意味します。
たとえば、これまで何度も2,000円付近で反発してきた株があり、2,000円を押し目候補として見ていたとします。
しかし価格が2,000円で反発せず、1,950円、1,900円と下落していけば、「押し目だと思っていた水準が割れた」と判断される場合があります。
大和証券の用語解説でも、支持線を抜けて下落した場合には下げが加速する場合があると説明されています。
ただし、一時的にラインを下回った後ですぐ戻るケースもあります。チャート上のラインは絶対的な境界ではありません。
押し目買いで失敗しやすい6つのパターン
1.単なる値下がりを「押し目」と思い込む
最も基本的な失敗が、株価が下がっただけで押し目だと判断することです。
押し目とは、基本的に上昇基調における一時的な下落です。すでに下降トレンドへ転換している銘柄を買うこととは意味が異なります。
大和アセットマネジメントも、押し目なのか下降の始まりなのかを見極めることは容易ではないと説明しています。
2.下落中に何度も買い増す
「ここが押し目」と買った後、さらに下落するたびに追加購入を続けると、押し目買いというよりナンピンの性格が強くなります。
下落が続けば保有数量が増え、損失額も拡大する可能性があります。
3.インジケーターを一つだけ信じる
「RSIが低いから買う」「移動平均線に触れたから買う」など、一つの指標だけで判断すると相場環境の変化を見落とす場合があります。
野村證券もテクニカル指標について、見る人によって受け取り方が異なり、ファンダメンタルズの変化なども見極める必要があると説明しています。
4.急落の原因を確認しない
株価が急落している場合、単なる利益確定ではなく、決算、業績予想、増資、政策変更など価格形成に影響する材料が発生している可能性があります。
過去のチャートだけを見るのではなく、下落が始まった理由も確認することが重要です。
5.「必ず元の価格へ戻る」と考える
株価には、以前の価格まで必ず戻るという保証はありません。
過去最高値から大きく下落し、その後長期間にわたり高値を更新できない銘柄も存在します。
押し目買いは「下がったらいつか戻る」という考え方ではなく、上昇基調が続くという前提が崩れていないかを確認することが重要です。
6.資金を一度に集中させる
押し目の底値を正確に事前予測することはできません。
どの投資方法でも損失の可能性があるため、自分が許容できる範囲を超えて一つの取引へ資金を集中させることはリスクを高めます。
押し目買いの失敗を減らすために考えたいこと
損失を完全になくす方法はありませんが、押し目買いを行う際には、事前に「どの条件なら自分の想定が崩れたと判断するのか」を決めておく考え方があります。
たとえば、以下のような確認項目があります。
- そもそも上昇トレンドなのか
- どの価格帯を押し目候補と見るのか
- どの水準を下回れば上昇継続の想定を見直すのか
- 一度の取引にどの程度の資金を使うのか
- 決算など大きな価格変動につながる予定がないか
重要なのは、買った後に都合よくルールを変更し続けないことです。
「押し目買いに押し目なし」ではなく「押し目待ちに押し目なし」
「押し目買いに押し目なし」という表現を見かけることがありますが、古くから知られる相場格言は、一般に「押し目待ちに押し目なし」です。
日本証券業協会や野村證券の相場格言解説でも「押目待ちの押目なし」「押し目待ちに押し目なし」として紹介されています。
意味は、上昇相場の勢いが非常に強い場合、少し下がったところで買おうと待っていても期待したほどの下落が起こらず、結果として買う機会を逃してしまうことがある、というものです。
たとえば1,000円の株が1,200円へ急上昇し、「1,100円まで下がったら買おう」と待っていたものの、1,180円程度までしか下がらず、そのまま1,400円まで上昇するようなケースです。
ただし、これは昔から伝わる相場格言であり、「押し目を待たずに買えば利益が出る」という意味ではありません。
日本証券業協会も、こうした相場格言について、どのような場合にも必ず当てはまるわけではないことを注意点として示しています。
押し目買いを初心者が理解するときのポイント
押し目買いを難しく考える必要はありません。まずは次の4点を区別できれば基本は理解できます。
- 押し目:上昇基調の途中に起きる一時的な下落
- 押し目買い:その下落局面で上昇再開を想定して買うこと
- 戻り売り:下降基調の途中に起きる一時的な上昇で売ること
- ナンピン:保有している資産が下落した際に追加購入し平均取得価格を下げること
押し目買いでは、価格が安くなったかどうか以上に、大きなトレンドがまだ上向きなのかを見ることがポイントになります。
押し目買いに関するよくある質問
押し目買いとは簡単にいうと何ですか?
上昇傾向にある株価や為替が一時的に下落した場面で、今後の上昇継続を想定して買う方法です。
押し目買いの反対は何ですか?
一般に戻り売りです。下降基調にある価格が一時的に上昇した場面で売る方法を指します。
押し目買いは逆張りですか?
証券用語では、短期的な下落に逆らって買うことから逆張りの一種として説明される場合があります。一方、大きな上昇トレンドの方向へ買うという観点では、順張り・トレンドフォローの方法として扱われる場合もあります。
押し目買いとナンピンは同じですか?
同じではありません。ナンピンは、すでに保有している銘柄などが下落した際、追加購入して平均買付価格を下げる方法です。押し目買いは、上昇基調中の一時的な下落で買うという相場局面を表す言葉です。
押し目買いに最適なインジケーターは?
必ず成功するインジケーターはありません。移動平均線、トレンドライン、RSI、MACDなどが参考に使われますが、単独の指標だけで価格の反発を確定することはできません。
移動平均線を割ったら押し目買いは失敗ですか?
必ず失敗とは限りません。一時的に移動平均線を下回ってから上昇することもあります。一方、重要な支持線や直近安値を下回り、高値・安値の切り下げが続く場合などは、それまでの上昇トレンドが変化していないか確認する必要があります。
株とFXで押し目買いは違いますか?
基本的な意味は同じです。ただし、株式では企業業績や決算など個別企業の材料があり、FXでは各国の金利や金融政策などが大きな材料になります。また、FXはレバレッジを利用する場合があるため、リスク管理が特に重要です。
まとめ|押し目買いは「安くなったら買う」だけではない
押し目買いとは、上昇傾向にある株価や為替が一時的に下落した場面で、その後の上昇再開を想定して買う方法です。
単に価格が下落したから買う方法ではありません。押し目買いで最も重要なのは、一時的な調整なのか、上昇トレンドが終わって本格的な下落へ移ったのかを考えることです。
チャートでは、高値・安値の推移、移動平均線、トレンドライン、サポートライン、出来高、RSI、MACDなどが判断材料として利用されます。ただし、どのテクニカル指標も将来の値動きを保証するものではありません。
また、押し目買いの反対は一般に戻り売りです。ナンピンとは目的や前提が異なり、「押し目買い=値下がりした銘柄を何度も買い増すこと」でもありません。
「押し目待ちに押し目なし」という相場格言が示すように、強い上昇相場では期待する押し目が現れないこともあります。一方、押し目だと思った下落が本格的な下降トレンドの始まりになることもあります。
そのため、押し目買いを理解する際は、「どこで買うか」だけでなく、「どの前提が崩れたら判断を見直すか」まで考えることが重要です。
※本記事は株式・FXなどにおける「押し目買い」の一般的な意味や市場用語、チャート分析の考え方を解説することを目的としたものであり、特定の金融商品・銘柄の売買を推奨、勧誘するものではありません。株式、FXその他の金融商品には価格変動等による損失の可能性があります。テクニカル分析や相場格言によって将来の値動きを確実に予測することはできません。実際の取引にあたっては、利用する金融機関が提供する最新の契約締結前交付書面、リスク情報、手数料等をご確認ください。
日本取引所グループ(JPX) / 日本証券業協会 / 金融経済教育推進機構(J-FLEC) / 野村證券 / 大和証券 / 大和アセットマネジメント / Reuters




