キオクシアの決算は好調?2026年3月期の業績を確認
2026年5月15日に発表された2026年3月期の連結決算では、売上収益が2兆3,376億円、営業利益が約8,704億円となりました。前期比では売上収益が37.0%増、営業利益が92.7%増です。
| 2026年3月期 | 実績 | 前期比 |
|---|---|---|
| 売上収益 | 2兆3,376億円 | 37.0%増 |
| 営業利益 | 約8,704億円 | 92.7%増 |
| 親会社所有者帰属持分比率 | 37.9% | 財務基盤が改善 |
業績拡大の背景には、データセンター・エンタープライズSSDを中心とする需要増加、NANDフラッシュメモリの販売単価上昇、製品構成の改善などがあります。円安も、外貨建て売上の円換算額や採算に影響する要素です。
一方、メモリ半導体は市況変動の大きい事業です。販売単価が上がる局面では利益が急増しやすい反面、供給過剰や顧客の在庫調整が起きると、単価や工場稼働率が下がり、利益が急速に縮小することがあります。
キオクシアの次回決算発表日はいつ?
次回の決算発表は、2026年7月31日15時30分に予定されています。対象は2027年3月期第1四半期、すなわち2026年4月から6月までの業績です。
決算発表日には、売上や利益だけでなく、次の項目が株価材料になりやすいと考えられます。
- NANDフラッシュメモリの平均販売単価
- 出荷容量の伸び
- データセンター・企業向けSSDの販売状況
- スマートフォンやパソコン向け需要
- 四日市工場・北上工場の生産状況
- 設備投資額と減価償却費
- 為替前提と円高・円安の影響
- 特許訴訟に関する業績影響の有無
決算数値が増収増益であっても、市場予想を下回れば株価が下落する場合があります。反対に、前年同期比で減益でも、会社計画や市場予想を上回れば買い材料になることがあります。
キオクシアは配当を出している?
キオクシアホールディングスの普通株式について、2025年3月期と2026年3月期の年間配当は0円でした。2027年3月期についても、2026年7月17日時点では普通配当の具体的な会社予想額が示されていません。
そのため、現時点では定期的な配当収入を主な目的とする銘柄とは性格が異なります。利益が大きいことと、直ちに増配・復配が行われることは同じではありません。
配当方針を判断する際には、利益だけでなく、設備投資、研究開発、借入金、手元資金、今後の投資計画などを確認する必要があります。将来の配当開始や増配は、取締役会決議などの正式発表が行われるまで確定しません。
キオクシアの株式分割は決まった?
2026年7月17日時点で、東京証券取引所に上場するキオクシアホールディングス普通株式について、分割比率、基準日、効力発生日を含む正式な株式分割の決定は公表されていません。
一方、会社は投資単位の引き下げが必要であるとの認識を示し、株式分割を含む対応を総合的に検討する方針を明らかにしています。2026年6月の定時株主総会でも、株式分割を検討している旨が報じられました。
2026年7月17日の終値を基準にすると、100株を購入するための金額は約521万円です。東京証券取引所が望ましい水準として示す投資単位より大幅に高いため、分割への関心が高まる背景はあります。
株式分割で企業価値が増えるわけではない
例えば1株を10株に分割した場合、理論上は株価も10分の1になります。保有株数は10倍になりますが、分割直後の保有総額や会社全体の価値が自動的に増えるわけではありません。
株式分割には、最低購入金額を下げ、売買に参加しやすくする効果が期待できます。ただし、分割観測だけを前提とした取引は、正式発表がなかった場合や期待が先に織り込まれていた場合に大きな損失につながる可能性があります。
キオクシアのレーティングはどう見る?
「レーティング」には、主に信用格付けと証券アナリストによる投資判断の2種類があり、意味が異なります。
信用格付け
2026年5月25日時点で、キオクシアホールディングスの長期格付けは、S&Pグローバル・レーティング、フィッチ・レーティングスともにBBB-です。
信用格付けは、主に債務を返済する能力を評価するものです。株価上昇の可能性を直接示す指標ではなく、「買い」「売り」の推奨とも異なります。
アナリストの投資判断と目標株価
キオクシアは国内外の複数の証券会社・調査機関による分析対象になっています。ただし、目標株価や投資判断は、NAND価格、為替、利益予想、評価手法によって異なり、変更されることがあります。
会社自身も、アナリストの予測や推奨を支持または保証しているわけではありません。単一の目標株価ではなく、その前提となる利益予想や市況見通しを確認する必要があります。
キオクシア株価の今後は?2026年の見通しを3つの視点で整理
将来の株価を正確な金額で断定することはできません。キオクシア株は業績、市況、期待、需給が複雑に影響するため、上昇・横ばい・下落の各シナリオを考えておくことが現実的です。
上昇要因になり得る材料
- 生成AI向けデータセンター投資の拡大
- 企業向け大容量SSDの需要増加
- NANDフラッシュメモリ価格の上昇または高止まり
- 332層BiCS FLASHの量産拡大
- 北上工場第2製造棟の生産効率向上
- 財務基盤の改善と借入負担の軽減
- 正式な株式分割による投資単位の引き下げ
伸び悩みにつながり得る材料
- AI関連需要が続いても、株価に期待が十分織り込まれている場合
- 設備投資や研究開発費の増加
- スマートフォン・パソコン需要の弱さ
- 円高による外貨建て売上の採算悪化
- 競合各社による増産
下落リスクになり得る材料
- NANDの供給過剰と販売単価の下落
- 大口顧客による在庫調整や発注減少
- 新製品の量産立ち上げや歩留まり改善の遅れ
- 工場の稼働率低下
- 為替、輸出規制、地政学的な環境の変化
- 特許訴訟などによる一時的または継続的な費用負担
- 高い期待や株式需給の反転による評価倍率の低下
「半導体バブル」なのか?キオクシアの業績推移を読むポイント
AI関連銘柄の上昇や急激な利益拡大を「半導体バブル」と表現する場合がありますが、キオクシアの状況を一言でバブルと断定することはできません。
AIサーバーでは、演算を担う半導体だけでなく、大量のデータを保存するSSDも必要です。そのため、データセンター向けストレージ需要には構造的な成長要因があります。
一方で、NAND事業には以前から強い景気循環があります。需要が増えるとメーカーが設備投資を拡大し、数年後に供給量が増えすぎると価格が下落するという動きが繰り返されてきました。
業績の持続性を考える際には、売上高だけでなく、平均販売単価、出荷容量、在庫、工場稼働率、設備投資、営業キャッシュ・フローを継続して見ることが重要です。
キオクシアの親会社は東芝?現在の資本関係
キオクシアの事業は東芝のメモリ事業を前身としていますが、現在のキオクシアホールディングスを「東芝の子会社」または「東芝が親会社」と表現するのは正確ではありません。
2026年3月31日時点で、東芝はキオクシアホールディングス株式の17.59%を保有する最大の単独株主です。ただし、過半数を保有しているわけではなく、連結子会社でもありません。
同日時点では、Bain Capitalに関係する複数のBCPE Pangea名義の株主も一定の株式を保有しています。したがって、現在の資本関係は「東芝だけが支配する会社」ではなく、複数の国内外株主が存在する上場会社として理解するのが適切です。
キオクシアとウエスタンデジタルは2026年に統合する?
キオクシアとウエスタンデジタルの経営統合は、2023年に交渉が進められたものの、合意に至りませんでした。2026年7月17日時点で、両社が経営統合すると正式発表した事実はありません。
その後、ウエスタンデジタルのフラッシュメモリ事業は独立し、Sandiskとして事業を展開しています。現在、キオクシアの製造協業相手として重要なのはSandiskです。
キオクシアとSandiskは、四日市工場などで長年にわたり共同生産を行っています。2026年1月には、四日市での合弁事業に関する枠組みを2034年末まで延長することが発表されました。
これは製造協業の継続を示すものであり、会社同士の経営統合や買収を意味するものではありません。「協業」「合弁」「経営統合」はそれぞれ異なるため、区別して確認する必要があります。
キオクシアの将来を左右するのは株式市場の話題だけではありません。次のページでは、北上工場で始まった332層製品の実像と、世界シェアを読む際の落とし穴を明らかにします。


