デジタル証券とは?仕組み・銘柄・メリット・税金・取扱証券会社をわかりやすく解説

デジタル証券とは、株式、社債、ファンド持分などの有価証券に関する権利を、ブロックチェーンを含む電子的な帳簿で記録・移転できるようにした金融商品です。不動産へ少額から投資できる商品が増えていますが、暗号資産とは法的な位置付けが異なり、価格上昇や元本が保証されているわけでもありません。本記事では、2026年7月21日時点の金融庁、各金融機関、運営会社などの公表情報を基に、仕組み、メリットとデメリット、renga、三井物産グループ、SBI、銘柄の選び方、税金、確定申告、クラウドファンディングとの違いまで中立的に整理します。

ブロックチェーンを利用したデジタル証券と資産運用のイメージ

この記事の主な内容

  • デジタル証券とセキュリティトークンの意味
  • 発行・購入・分配・売却の仕組み
  • 不動産デジタル証券のメリット
  • 元本割れ・流動性・システム面のデメリット
  • デジタル証券株式会社とrengaの特徴
  • 山本浩平氏とSBIグループとの関係
  • 三井物産グループのALTERNA
  • 現在確認できる取扱証券会社と銘柄例
  • デジタル証券株式会社の株価に関する注意
  • 税金・特定口座・確定申告
  • 不動産クラウドファンディングとの違い
  • シンポジウム・フォーラムの開催情報

デジタル証券とは?

デジタル証券とは、有価証券に関する権利を電子的に表示し、ブロックチェーンなどの分散型台帳技術を使って保有者や移転履歴を管理する金融商品です。

英語ではSecurity Tokenと呼ばれ、日本では「セキュリティトークン」または略して「ST」と表記されます。

2020年5月に施行された改正金融商品取引法などにより、ブロックチェーン上で電子的に発行・移転される有価証券や権利の法的な扱いが整理されました。

暗号資産との違い

デジタル証券と暗号資産は、どちらもブロックチェーンを利用することがありますが、法的な性質は異なります。

比較項目 デジタル証券 暗号資産
主な法的位置付け 金融商品取引法上の有価証券など 資金決済法上の暗号資産など
価値の基礎 不動産、社債、ファンド持分などの権利 暗号資産自体の需給や利用価値
主な販売主体 登録を受けた証券会社など 登録を受けた暗号資産交換業者など
投資家が得るもの 分配金、利金、償還金、売却損益など 価格変動による売買損益など
元本保証 原則なし なし

デジタル証券を購入するために、必ず暗号資産を用意する必要があるわけではありません。国内の個人向け商品では、日本円で購入し、分配金や償還金も日本円で受け取る仕組みが一般的です。

デジタル証券の主な種類

種類 裏付けとなる資産・権利 主な収益源
不動産ST オフィス、住宅、ホテル、物流施設など 賃料収入と売却損益
社債ST 企業が発行する社債 利金と償還金
ファンド持分ST 匿名組合出資持分や投資ファンド 投資先から得る利益の分配
金銭債権ST 住宅ローンや企業向け債権など 利息や回収金
その他の資産ST 航空機、船舶、インフラ、知的財産など 利用料、賃貸料、事業収益など

2026年時点の国内市場では、不動産を裏付けとする商品が多く見られます。ただし、同じ「不動産デジタル証券」でも、受益証券発行信託、匿名組合、社債など、法的な仕組みが異なる場合があります。

デジタル証券の仕組み

不動産デジタル証券を例にすると、一般的な流れは次のようになります。

  1. 運用会社が投資対象となる不動産を選ぶ
  2. 合同会社や信託などを利用して商品を組成する
  3. 投資家の権利を表すデジタル証券を発行する
  4. 登録を受けた証券会社などが投資家を募集する
  5. 集めた資金で不動産や信託受益権を取得する
  6. 賃料収入などから費用を差し引いて分配する
  7. 運用終了時に不動産を売却して償還する

ブロックチェーンへ不動産そのものを保存するわけではない

ブロックチェーンに記録されるのは、主に誰がどの権利を保有しているかという情報です。建物や土地そのものがデジタルデータへ変わるわけではありません。

不動産の所有権、信託受益権、匿名組合出資持分などとデジタル上の記録を結び付けて管理します。

秘密鍵は誰が管理する?

暗号資産では、利用者自身が秘密鍵を管理する場合があります。一方、国内の個人向けデジタル証券では、証券会社や資産保管会社などが秘密鍵や移転手続きを管理する方式もあります。

購入者が個人用の暗号資産ウォレットを準備する必要があるかどうかは、利用するサービスによって異なります。

デジタル証券のメリット

大型不動産などを小口化できる

大型のオフィス、賃貸住宅、ホテルなどは、物件全体を購入するために数十億円以上の資金が必要になる場合があります。

デジタル証券を利用して権利を小口化することで、個人が10万円程度から購入できる商品も登場しています。ただし、最低申込口数や購入単位は銘柄ごとに異なります。

発行・管理手続きを効率化できる

投資家名簿、権利移転、分配金の基準日などを電子的に管理できるため、従来の紙を中心とした事務より効率化できる可能性があります。

効率化によって必ず手数料が安くなるわけではありませんが、商品設計や販売方法の選択肢が広がります。

投資対象を確認しやすい

不動産STでは、特定の住宅、ホテル、物流施設など、対象資産が明確な商品があります。

多数の物件を入れ替えながら運用するJ-REITとは異なり、投資対象を限定して運用する商品では、どの物件の収益を基礎としているかを把握しやすい点が特徴です。

二次流通を設けられる

デジタル証券は、システム上で保有者情報を書き換えることで、投資家間の売買を行えるよう設計できます。

大阪デジタルエクスチェンジが運営するPTS「START」や、運営会社独自の相対取引システムなどが二次流通の例です。

ただし、売却注文を出せることと、希望する時期や価格で必ず売れることは同じではありません。

保有者向け特典を付けやすい

ホテルを裏付けとする商品で宿泊に関する特典を用意するなど、権利保有者へ金銭以外の特典を提供する商品もあります。

特典の有無や内容は銘柄ごとに異なり、途中で変更または終了する可能性があります。

デジタル証券のデメリット

元本と分配金は保証されない

不動産の稼働率低下、賃料下落、修繕費増加、金利上昇、売却価格の低下などにより、分配金が減少したり、償還額が投資額を下回ったりする可能性があります。

募集資料に「想定利回り」が表示されていても、運用期間中の分配金や最終的な利益を保証する数字ではありません。

希望するときに売却できない場合がある

東京証券取引所の上場株式ほど売買参加者が多いとは限りません。

  • 買い注文がなく取引が成立しない
  • 売買できる期間が限定される
  • 決算や分配の前後に取引停止期間がある
  • 売却先が取得元の証券会社などに限られる
  • 途中売却そのものが制限されている

運用期間が3年や5年と設定されている商品では、原則として償還まで保有できる資金で検討する必要があります。

価格が毎日変動しない商品もある

上場株式は市場の注文状況によって価格が連続的に変動します。一方、非上場の不動産デジタル証券では、直近の不動産鑑定評価などに基づいた一定の基準価格で売買する場合があります。

価格変動が小さく見えても、実際の不動産価値や売却可能価格が変動していないとは限りません。

手数料の全体像がわかりにくい

購入時の手数料が無料でも、ファンド内では次の費用が発生する場合があります。

  • 資産運用報酬
  • 販売報酬
  • 不動産管理費
  • 信託報酬
  • 鑑定評価費用
  • システム利用料
  • 借入金の利息
  • 不動産売却時の費用

表示された想定利回りがどの費用を控除した後の数字か、目論見書や契約締結前交付書面で確認することが重要です。

「デジタル証券」という社名と金融商品の総称は別物です。rengaを運営する会社、SBIとの資本関係、三井物産グループとの違いは次のページへ。