株価や為替の解説で「押し目買いが入った」「押し目を待ちたい」といった表現を見かけても、どのような場面を押し目と呼び、いつ買えばよいのかは分かりにくいものです。押し目買いとは、基本的に上昇傾向にある相場が一時的に下落した場面で買う方法を指します。しかし、単に値下がりした銘柄を買えばよいわけではありません。一時的な調整だと思って買ったところ、そのまま本格的な下落へ移ることもあります。この記事では、押し目買いの意味からタイミング、チャートの見方、インジケーター、FXでの考え方、戻り売り・逆張り・ナンピンとの違い、失敗しやすいポイントまでわかりやすく解説します。

この記事の目次
- 押し目買いとは?意味を簡単に解説
- 押し目買いの反対「戻り売り」との違い
- 押し目買いは順張り?逆張り?
- ナンピンとの違い
- 押し目買いのタイミングとチャートの見方
- 使われる主なインジケーター
- 押し目買いに向く銘柄の考え方
- FXでの押し目買い
- 「押し目が割れる」とは?
- 押し目買いで失敗しやすい原因と対策
- 「押し目待ちに押し目なし」の意味
押し目買いとは?上昇途中の一時的な下落を狙って買う方法
押し目買いとは、株価などが上昇傾向にある途中で一時的に値下がりした局面を「押し目」と考え、そのタイミングで買いを入れることです。
日本取引所グループ(JPX)では、価格が上昇傾向にある中で一時的に価格が下落した際に買い付けを行うことを、一般に「押し目買い」と説明しています。
たとえば、ある株価が次のように推移したとします。
- 1,000円から1,100円へ上昇
- その後1,050円まで一時的に下落
- 再び上昇基調へ戻る
この1,100円から1,050円への一時的な下落部分が「押し目」に当たる可能性があります。上昇トレンドが続くと判断して1,050円付近で買う行為が押し目買いです。
ただし、1,050円から再び上昇すると事前に確定しているわけではありません。そのまま1,000円、900円と下落する可能性もあります。
押し目買いで最も難しいのは、「一時的な下落」と「本格的な下落の始まり」を事前に完全には見分けられないことです。
押し目買いを英語でいうと?
英語では、相場の一時的な下落を買うことを「buy the dip」や「buy on dips」などと表現します。
英語圏の金融ニュースでも「buy the dip」という表現は広く使われています。「dip」は一時的な値下がりという意味で、文字通り「下がったところを買う」というニュアンスです。
押し目買いの反対は「戻り売り」
押し目買いと対になる言葉が戻り売りです。
押し目買いが「上昇トレンド中の一時的な下落で買う」方法なのに対し、戻り売りは下落基調にある相場が一時的に上昇したところで売る考え方です。
| 項目 | 押し目買い | 戻り売り |
|---|---|---|
| 基本となる相場 | 上昇トレンド | 下落トレンド |
| 一時的な動き | 値下がり | 値上がり |
| 基本的な行動 | 買う | 売る |
| 考え方 | 上昇再開を想定 | 下落再開を想定 |
大和証券の金融・証券用語解説では、戻り売りについて「値下がりした株価が上昇に転じ、値を戻したところで売ること」と説明されています。
つまり、押し目買いと戻り売りは、トレンドの方向を逆にした関係にあります。
押し目買いは逆張り?それとも順張り?
押し目買いと「逆張り」の関係は少しややこしいポイントです。
野村證券の用語解説では、押し目買いは逆張りの投資手法の一つとして説明されています。価格が短期的に下がっている最中に買うという点を見れば、直近の値動きとは反対方向に注文するためです。
一方、FXなどのトレード手法では、上昇トレンド全体の方向に沿って買うという意味で、押し目買いをトレンドフォローや順張りのエントリー方法として説明する場合もあります。
どちらが絶対的に正しいというより、見ている時間軸や分類方法の違いです。
- 短期的な値下がりに対して買う:逆張り的
- 大きな上昇トレンドに沿って買う:順張り・トレンドフォロー的
初心者の場合は言葉の分類にこだわるより、「上昇トレンドが続くと考え、一時的な下落を買う方法」と理解すると分かりやすいでしょう。
押し目買いとナンピンは何が違う?
押し目買いと混同されやすい取引方法がナンピン(難平)です。
野村證券では、ナンピンを、当初買った有価証券の価格が大きく下がった際に、平均買付コストを下げる目的でさらに買い付けることと説明しています。
最大の違いはすでにポジションを持っているかという点です。
| 項目 | 押し目買い | ナンピン |
|---|---|---|
| 基本的な目的 | 上昇トレンド中の調整局面で買う | 保有銘柄の平均取得価格を下げる |
| 既存ポジション | なくても成立する | すでに保有していることが前提 |
| 前提 | 上昇基調の継続を想定 | 保有銘柄が下落している |
たとえば1,000円で保有している株が800円へ下がったため、追加購入して平均取得単価を引き下げるのはナンピンです。
一方、まだ保有していない上昇トレンドの銘柄が一時的に下落し、その局面を狙って初めて買うのであれば押し目買いと呼べます。
なお、押し目買い後にさらに下落したところで追加購入すると、結果としてナンピンになる場合があります。
「下がったから買う」だけでは押し目買いになりません。重要なのは上昇トレンドが続いているかを確認することです。具体的なチャートの見方と判断材料を次のページで解説します。




